筋トレで筋肉をつけても大してダイエット効果はないという話

筋トレをすると筋肉が増えて、基礎代謝量が上がる。だからダイエットできるし、リバウンドしない体が得られる。よく聞く話です。

ですが、これって、ほぼ不可能です。

筋トレをして筋肉量を増やせばいい。その考えは正しいのですが・・・


厚生労働省のサイトに、e-ヘルスネットというのがあります。そのサイトに「加齢とエネルギー代謝」というページがあります。

ここに、加齢によって基礎代謝量が減るのは、筋肉量が減るからだと書かれています。引用しますね。

一般的に加齢に伴って基礎代謝量は低下します。その主な理由として筋肉などの除脂肪量の低下があげられます。このことは活動時のエネルギー代謝量が低くなることにもつながりますので、結果的に総エネルギー消費量(24時間相当)も加齢に伴い低下していきます。

筋肉量が減って、基礎代謝が減る。そして、筋肉が減ると体を動かすのがおっくうになるので、活動のエネルギー量も減る。恐ろしい話です。

では、どのくらい基礎代謝量が減るのかというと、

例えば体重70kgの男性の場合、基礎代謝量の推定値は、20歳代で1680kcal、50歳代で1505kcalとなり、1日でおよそ175kcalの差になります。

おにぎり1つ分くらいのエネルギー量ですね。

ということは、筋トレをして筋肉量を増やせばいいんだということになるわけです。この思考自体は正しいです。

筋トレで基礎代謝量を上げるのは絶望的に難しい

でも、このページに掲載されている「表2: ヒトの臓器・組織における安静時代謝量」という表をみてみると、それが絶望的に難しいことがわかります。

骨格筋(筋肉のことですね)のエネルギー代謝量は、13(kcal/kg/日)です。そして、脂肪のエネルギー代謝量は4.5(kcal/kg/日)です。そうです。筋肉だけでなく、脂肪にも代謝量があるんです。

ということはですよ。

筋トレをして筋肉を1kg増やして、脂肪1kgと置き換えたとしても、13-4.5=8.5kcalしか基礎代謝量が増えないということです。

アメ玉一つ分のカロリー(20kcal)にもなりませんね。

では、ものすごく頑張って、5kg筋肉をつけたとしましょう。それでも、(13-4.5)×5=42.5kcalしか基礎代謝量は増えません。おにぎり半分のエネルギー量にもならないですね。

もちろん、少しは基礎代謝量は増えてますよ。でも、微々たるものです。ちょっとしたお菓子でも食べたら帳消しになってしまう。その程度のエネルギー量です。

もし脂肪を筋肉に置き換えて、おにぎり1個のエネルギー(175kcal)の基礎代謝量を増やそうとしたら、175÷(13-4.5)=20kgの筋肉をつけなければならないことになります。

結局、筋トレは「ほどほど」に頑張るのがいいと思う

ちょっとでも筋トレをしてみればわかりますが、これは普通の人は絶対に不可能なレベルです。先ほどの表2をみると、体重70kgの人の例で、脂肪が15kgになっていますから、全部の脂肪を筋肉に置き換えても、まだ5kg足りない。

実際には脂肪がまったくなくては死んでしまいます。そこで体脂肪を7kg残して、8kg分を筋肉に置き換えるとすると、(13-4.5)×8=68kcalしか基礎代謝量は増えません。

でも、これでも体重70kgで体脂肪7kgですから、体脂肪率10%です。夢の体脂肪率一桁目前です。腹筋も割れてしまうでしょう。こんなことは、ボディビルダーになるつもりで、過酷なトレーニングをしなければ達成できません。普通の人には無理です。

結論です。

筋トレをやって痩せることはできません。でも、筋トレをして、少しでも筋肉をつけようと努力することはいいことです。筋トレをして活動的になれば、消費エネルギーも増える。見た目もよくなる。

ですので、一般人の私たちとしては、筋トレは、ほどほどに頑張るのが良いと思います。ダイエットの本筋は、あくまでも食事量のコントロールです。